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研究テーマと関連学術ワード「歴史的類推」(D1 中村賢治)

自己紹介
現代の問題を解決するために、歴史家との対話・協働を通して歴史を応用する学習方法を開発し、学校や博物館などで実践・評価しています。 Research map:https://researchmap.jp/kenji_nakamura

研究テーマ
〇歴史的類推で社会参画する歴史教育デザイン研究:子どもと歴史家による協働プロジェクト 【概要説明】 現代の問題を解決するために、子どもと歴史家とが対話・協働し、歴史から学べるより良い案を社会に向けて発信するプロジェクト形式の学習方法を開発し、高校の授業などで実践・評価を行っていきます。 【関心をもった理由】  卒論研究・修士研究を通して、歴史と現代を繋げて多様なアイディアを出せる子どもたちと、歴史と現代の類似点・相違点を分けてそのアイディアを整理できる歴史家に出会い、そのコンビネーションに新しい歴史教育の可能性を見出せたのがこの研究のきっかけです。

研究テーマに関連する学術ワード「歴史的類推:Historical Analogy」
歴史の因果関係を参照して、現代の問題を分析したり、未来を展望したりする思考法。参照する歴史は、現代の状況との類似点と相違点を明確にしておく必要がある。なお、歴史的類推は、応用歴史学(≒歴史政策学など)でも多様に論じられている。

【関連する論文・書籍】
Van Straaten, D., Wilschut, A., & Oostdam, R. (2018). Exploring pedagogical approaches for connecting the past, the present and the future in history teaching. Historical Encounters: A journal of historical consciousness, historical cultures, and history education, 5(1), 46-67.
→近年発表された歴史的類推を取り入れた授業のデザイン研究。生徒が歴史を参照して現代の問題を振り返る時、歴史的類推が最も役立つ可能性があると明らかにしている。
Richard E. Neustadt & Ernest R. May (1986). Thinking in Time: The Uses of History for Decision-Makers, The Free Press.
→政治学者(Neustadt)と歴史学者(May)による共著。豊富な事例とともに政策決定に関わる歴史活用の方法論が記載されている。歴史的類推に関わる古典的書物。

未来への多様な願いを持つ方々と繋がり、立場を超えて協働できる研究者になります!

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研究テーマと関連学術ワード「歴史意識」(M1 三谷日奈子)

自己紹介
三谷日奈子と言います。

現代社会に生きる自分とは異なる他者の気持ちを考えられるようになる歴史授業の方策について研究しています。 お絵描きと歴史が大好きです。普段はこっそり漫画や絵を描いています。

研究テーマに関連する学術ワード
宇都宮(2016,p.17)は、歴史学習により得られる歴史的な知識のことを「歴史認識」といい、態度的な側面を「歴史意識」としています。

ここから私は「歴史意識」を「歴史学習から得た歴史認識を活用した、現代社会を生き抜くための資質・能力」と考え、さらに発展させて、私は「豊かな歴史意識」を「歴史学習から、現代社会に生きる自分とは異なる他者の気持ちを考えることに繋げられる資質・能力」と定義したいと考えています。

この資質・能力を育成する方策を検討することを主な修士論文の研究対象にしたいと思います。

参考文献
宇都宮明子(2016)「日独歴史意識研究の比較考察-歴史教育学研究における教育目的概念に焦点化して―」『社会科研究』第85号,pp.13-24
宇都宮明子(2018)「歴史意識を育成する歴史教育論に基づいた日本史授業開発-鎌倉時代の単元を事例に―」『日本強化教育学会誌』第39巻,第1号.pp.73-83

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研究テーマ(B4 大畑澄佳)

自己紹介
わたしは、歴史論争問題を解決に向かわせる授業方法の開発研究をしています。

歴史論争問題には、宗教や領土問題、国際関係など過去から今にわたっても解決に進むことのできない問題が多くあります。私は、生徒に対してこれらの問題を習うだけではなく、自分事として思考し、自ら学んでいく姿勢を養いたいと考えております。

私は、学生の頃より国際関係について大きな興味があり、英語はあまり得意ではありませんが積極的に海外の方と関わってきました。そのかかわりの中で、自分や自分の国との食べ物や文化、言語や認識の違いを多く感じてきました。特に私は韓国の食文化や言語に大きな関心があり、沢山学び親しみを自分の中にも持っていたのですが、同時に自国とその国間にある避けることのできない問題についても僅かな知識ではありますが、関心がありました。

被害と加害の両面を持つ問題に関しては触れることに多少の抵抗がありました。しかし、それでは問題はずっと残ったままであると感じ、少しでも解決に向かいたいと感じ、歴史論争問題を解決に向かわせる受業の開発をしてみようと思ったことがきっかけです。

被害と加害の両面を持つ歴史論争問題では、そのどちらもの立場に立って初めて解決への思考が及ぶのではないかと思っています。国際関係においては特に、資料の分析や当時の方々の声などから推測されていくと思いますが、そこには自分の思考がどうしても入り込んでしまうため実際に相手の声を聴くことも大切だと考えます。

まだ多くのことが自分の中でも探り探りの状態ですが、授業の実現のためこれから研究していきます。

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研究テーマと関連学術ワード「有意味化」(B4 宮本幸来)

自己紹介
広島大学教育学部社会系コースの宮本幸来です。

今は「知識の構造化に注目した歴史学習の有意味化」について研究しています。

私がこの研究をしようと思ったきっかけとしては、歴史という科目が一般的には暗記科目であると認識されており、そのように暗記科目であるがゆえに機械的な暗記をしてしまう。そこで知識が断片的になることによって、あまり意味がないと感じてしまい、歴史が嫌いになってしまう人が多くいるという現状を変えたいと思ったからです。

このような想いは自分が中学生のころから持っており、自分がこんなにも好きな社会科を何故みんなは嫌いなのだろうかと日々考えていました。

長年このような課題に対しては様々な研究者たちが解決の方法を模索しているとは思いますが、知識の構造化という観点から子どもたちが歴史を好きになってもらえるような、自分の中で納得できるアプローチを見つけることができればよいと思います。

研究テーマに関連する学術ワード
研究テーマに関連する学術ワードは、学習の「有意味化」です。

学習の「有意味化」とは、ある事象が断片的に憶えられるのではなく、その事象が生起した原因と結び付けられたり、事象間が関連づけられるといった構造化がなされたりすることを指しています。

また「知識の構造化」とは「AはBである」といったような事象に関する知識が、例えば「~だから」と原因にあたる知識と結び付けられることを指します。

まだまだ研究を始めたばかりでこのような分野のことについて詳しく知るわけではありませんが、長くもあり、短くもある期間で池尻先生のもとで多くのことを、自分の興味を広げることができるように学んでいきたいと思っています。

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研究テーマと関連学術ワード「歴史的思考力」(B4 松本大空)

自己紹介
はじめまして、広島大学教育学部所属の松本大空です。

池尻先生のゼミでは研究関心である「生徒の発見した探究課題に社会科の視点から補助をする空間の設計」について研究しています。

具体的には、生徒が「自分で発見した問い」を持ち込んで、それに対して教員が社会科教員としての専門性を生かしながら補助が行える空間の設計を目指しています。

これは、私が高校時代に地歴公民科職員室に入り浸っていた経験と自分のやりたいことに対して様々な補助を行っていただいた先生の存在によるものなのだろうと思っています。

研究テーマに関連する学術ワード
さて、このブログをお読みの方の多くは社会科や教育に関わる方が多いかと思います。そこで今回は私が注目する学術ワードについて紹介をさせていただこうと思います。

私の注目している学術ワードは「歴史的思考力」です。

歴史的思考力とは実際の教育現場などで、「歴史的な見方・考え方」や「地理的な見方・考え方」などと呼ばれている概念とほぼ同義と考えられます。私が研究しているのは社会科の視点を活用した探究活動です。しかし、そもそも社会に対する視点や考え方を獲得することができなければ、探究課題の発見は不可能であり、この歴史的思考力はその探究活動が発生するための基礎と考えることができます。

この「歴史的思考力」に関する文献として佐々木英三氏の「歴史的思考力育成の論理 : O’Reillyの場合」を紹介します。この論文の中で佐々木氏は歴史的思考力をアメリカの高等学校社会科教師K.オレイリーの開発した授業から抽出しており、歴史的思考力が5段階に分かれていることを示しています。この5段階は歴史的事象の原因・状態(レベル1~3)と結果(レベル4,5)にわかれるため、どのレベルまで生徒が歴史的思考力を有していれば探究学習の基礎が完成しているといえるのかを考えることができるのではないかと私は考えています。

まだまだ分からないことが多く、不安なことだらけですが今後も楽しみながら研究を行えたらと思っています。

参考文献
佐々木英三 (1996) 歴史的思考力育成の論理 ― K. O’Reilly の場合 ―. 社会科研究, 45, 21-30.