3Dプリンタが歴史学習に与えるインパクト

最近、3Dプリンタが色々な領域でインパクトを与えています。3Dプリンタとは、3次元データを専用の印刷機に送って「物体」をプリントすることができるもので、医療、自動車、建設などの幅広い領域での応用が考えられています。個人的にはグーテンベルクの活版印刷術に匹敵する技術革新だと思っているのですが、他の領域と同様に歴史学習にもインパクトを与えると踏んでいます。

特に、地理情報が結びついている歴史的事象の理解と、歴史的文化財の形状観察による気付きの2つには効果的だと考えられます。例えば、民族の大移動や都市の発生、戦争時の侵攻ルートなどは地形という3次元情報と強く関係しています。従来の資料集では平面的なルートを示すのにとどまっていましたが、3Dプリンタを使うことでなぜここに都市が出来たのか、なぜここから侵攻したのかという分析や発見を促すことができるかもしれません。また、建築物や装飾品といった歴史的文化財の観察も歴史をより実感するために必要な学習フェーズです。これらも従来の資料集では2次元のカラー写真に限られていましたが、3Dプリンタを使えば実際に触ったり色々な角度から眺められるので、文化財の形状から気付きを促すことができるかもしれません。

これに加え、3Dプリンタの注目すべき点はその普及可能性にあります。現在3Dプリンタの値段は約4万5千円と手が届く範囲になってきており、学校への導入は夢物語ではありません*1。さらに、歴史に関する3次元データも全くない状況ではなく、例えば、ハーバード大学ではメソポタミア時代の考古学的価値を持つ彫刻を3Dプリンタで印刷できる取り組みを行っています*2。また、3Dプリンタ向けのデータではありませんが、Google Cultural Instituteではフランスの歴史上の建築物や都市図を3Dモデルでデジタル化している取り組みも行われています*3

(画像はGoogle Cultural Instituteが作成した1691年のモン・サン=ミシェル修道院の3Dモデル*3

将来的に歴史に関する3次元データが増えて3Dプリンタが社会的に広がれば、歴史の資料集は飛び出す絵本のようになるかもしれませんし、各学校に1台3Dプリンタがあれば、先生が歴史の授業で簡単に模型図を生徒に見せられる時代が来るかもしれません。もし当時の建物の中や備品まで3Dプリンタで印刷できたら、歴史の授業は毎回タイムスリップしているみたいになるんでしょうね。5年後くらいに、そんな研究もできたらいいなと思います。

参考URL
*1 約4万5000円でゲットできる安価な3Dプリンター「Robo3D」:GIGAZINE
*2 Harvard’s 3D-Printing Archaeologists Fix Ancient Artifacts:Wired
*3 立体地図を通して見るフランス:Google Cultural Institute