歴史と現在を融合させるフォトアートとその教育利用の可能性

最近Webを見ていて “The Ghosts of World War Ⅱ” という面白いアート作品を見つけました。これは、現在の写真上に第二次世界大戦時の写真を融合させる手法を取ったロシアの写真家 Sergey Larenkov 氏の作品で、非常に印象的なものになっています。

(全作品はhttp://www.mymodernmet.com/profiles/blogs/the-ghosts-of-world-war-iisを参照下さい)

歴史と現在を融合させた研究としては、中杉・山内(2002)の「ウェアラブルコンピュータを用いた歴史学習支援システムの開発」があります。これは、特殊なコンピュータを使って、現在の東大の安田講堂に東大紛争時代の映像を重ね合わせるというシステムで、現在と歴史を重ね合わせることによって得られる強い心理的経験を買可能にしています。また、学習効果としては①探索学習の喚起②現在と過去をつなぐ視点の獲得の2つが挙げられています。

映像と画像という違いはあるものの、 “The Ghosts of World War Ⅱ” の作品も類似した学習効果を与えられるかもしれません。例えば下の写真を見せることで、「戦車ってこんなサイズなんだー」と歴史をリアルに感じるかもしれませんし、上の写真を見せることで「何でこんなに階段がボロボロなんだろう?」と探索学習の入り口を提供するかもしれません。また、第二次世界大戦のような大規模なテーマでなくても、昔の茶の間の写真を今の家のリビングの写真に合わせて生徒に見せることで、普段の食卓や服装の違いをリアルに感じさせることもできると思います。

Sergey Larenkov 氏はPhotoshopを使って今と昔の写真を融合させていますが、この手法は比較的教育現場でも導入が可能な手法だと思います。デジタルが苦手な人でも、透明なフィルムに歴史の写真を印刷して現在の写真を重ね合わせることでも代替できると思います。また、歴史の写真は国立国会図書館をはじめ、デジタル・アーカイブ化が進んでいるのでWeb上での入手も比較的簡単になってきています。歴史の授業を行う人は、一度試してみてはどうでしょうか?

 

参考文献・URL
・The Ghosts of World War Ⅱ
http://www.mymodernmet.com/profiles/blogs/the-ghosts-of-world-war-iis
・中杉啓秋, 山内祐平(2002)ウェアラブルコンピュータを用いた歴史学習支援システ
ムの開発. 日本教育工学雑誌 26, 167-172.
http://ci.nii.ac.jp/naid/80015835744