2025-09-16

研究テーマと関連学術ワード「歴史的思考力」(B4 松本大空)

自己紹介
はじめまして、広島大学教育学部所属の松本大空です。

池尻先生のゼミでは研究関心である「生徒の発見した探究課題に社会科の視点から補助をする空間の設計」について研究しています。

具体的には、生徒が「自分で発見した問い」を持ち込んで、それに対して教員が社会科教員としての専門性を生かしながら補助が行える空間の設計を目指しています。

これは、私が高校時代に地歴公民科職員室に入り浸っていた経験と自分のやりたいことに対して様々な補助を行っていただいた先生の存在によるものなのだろうと思っています。

研究テーマに関連する学術ワード
さて、このブログをお読みの方の多くは社会科や教育に関わる方が多いかと思います。そこで今回は私が注目する学術ワードについて紹介をさせていただこうと思います。

私の注目している学術ワードは「歴史的思考力」です。

歴史的思考力とは実際の教育現場などで、「歴史的な見方・考え方」や「地理的な見方・考え方」などと呼ばれている概念とほぼ同義と考えられます。私が研究しているのは社会科の視点を活用した探究活動です。しかし、そもそも社会に対する視点や考え方を獲得することができなければ、探究課題の発見は不可能であり、この歴史的思考力はその探究活動が発生するための基礎と考えることができます。

この「歴史的思考力」に関する文献として佐々木英三氏の「歴史的思考力育成の論理 : O’Reillyの場合」を紹介します。この論文の中で佐々木氏は歴史的思考力をアメリカの高等学校社会科教師K.オレイリーの開発した授業から抽出しており、歴史的思考力が5段階に分かれていることを示しています。この5段階は歴史的事象の原因・状態(レベル1~3)と結果(レベル4,5)にわかれるため、どのレベルまで生徒が歴史的思考力を有していれば探究学習の基礎が完成しているといえるのかを考えることができるのではないかと私は考えています。

まだまだ分からないことが多く、不安なことだらけですが今後も楽しみながら研究を行えたらと思っています。

参考文献
佐々木英三 (1996) 歴史的思考力育成の論理 ― K. O’Reilly の場合 ―. 社会科研究, 45, 21-30.