研究テーマと関連学術ワード「レリバンス」(B4 木下耕太朗)
広島大学教育学部社会系コース所属、木下耕太朗です。
私の研究テーマは「ナラティブ・テンプレートを活用した生徒の学習意欲を向上させる授業とは何か」です。生徒の生徒が有する共通した語りの枠組みであるナラティブ・テンプレートを活用することで、生徒の意欲・関心を引き出し主体的な授業参加に繋がるのではないかと考えました。
この研究テーマに関心を持ったのは、将来私が教師になった時に、生徒の意欲・関心を引き出せるような授業を行えるようになりたいと考えたことがきっかけです。大学入学後、様々な社会科の授業方法を学び、これまで自分が経験したことのないようなものも多く、非常に興味深いものでした。これらの学んだことも踏まえ、私が理想とする授業とは何かと考えてみると、生徒が意欲・関心を持ち主体的に参加できる授業であると考えました。
研究テーマに関連する学術ワード
ここでは私の研究テーマに関する学術ワードである「レリバンス」を紹介します。
レリバンス(relevance)とは多義的な概念ではありますが、一般的には有意性や関連性と訳され、物事を選択する際に「意味あるもの」とする基準を指します。『社会科重要用語辞典』(2022)によると、日本の教育の文脈においては、教育と社会のつながり(学校での学びが社会との関係の中でどのような意味を、どのように生み出すか)を検討するときに用いられるとされています。
次にレリバンスに関連する論文や本を2つ紹介します。1つ目は、『レリバンスの視点からの歴史教育改革論』(2022)です。この本では、日・米・英・独の事例を手掛かりに、レリバンスの視点からの歴史教育改革について論じられています。歴史教育の構造を子ども自身の文脈や子どもの生きている社会とどう関連付けるのかという問題に対して様々な事例が紹介されている。2つ目は、本田由紀さんの『「学習レリバンス」の構造・背景・帰結』です。「レリバンス」を構成する時間軸を重視することにより、2種類に分類できるとされています。1つは子どもが学習を行っているその時点で感じられる「レリバンス」であり、学習そのものの「面白さ」を指す「現在的レリバンス」。もう1つは学習を行っている時点よりもずっと後の時点で生じることが予測されている「レリバンス」であり、学習が将来何かに「役立つ」といった感覚を意味する「将来的レリバンス」に設定することができると紹介されています。
今後は先行研究をより分析するなど知見を広げて、自分の研究をどんどんブラッシュアップしていきたいと考えています。
参考文献
棚橋健治, 木村博一(編著) (2022) 社会科重要用語事典. 明治図書出版.
二井正浩(編著).(2022) レリバンスの視点からの歴史教育改革論 ― 日・米・英・独の事例研究. 風間書房.